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□エンジェルはーと
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「…はぁ…」
「いや!ななみん!可愛かったよ!!めっちゃ!!!」
「うん!きゅんとした!!」
「…ありがとうありがとう…」
本日の収録で、全力妖精を演じたクールビューティーでお馴染みの彼女。
秋元と深川に慰められながらも、橋本奈々未は完全に疲れ切っていた。
「…絶対キャラじゃない…」
負けず嫌いな性格もあって、本番は完全にやり切ったが、着替えるために楽屋へ向かう途中、1人妖精の姿で歩く自分に、どうしようもないやり場のない恥ずかしさが湧き上がる。
「…早く着替えよ…なんだこれ…
…げ、元気になーれみーん☆…あ…」
エレベーターの前で収録を思い出していると、後ろから来た人物と目が合う。
「あ…」
「…」
「……」
「………」
「あ、あの…「見たか?」ひいいっ!」
そこにはすごく申し訳なさそうに固まっている名無しさんの姿があった。
とりあえずどうしようもないので、誤解を解き口止めをしようと名無しさんにつめよる。
「…」
「黙秘権はない」
「そんな!」
「乗って、エレベーター、そこ治外法権だから」
「こええ!!こんなにエレベーター乗りたくないことない!!!七瀬に連打してしめてほしい!」
ごねる名無しさんをエレベーターに押し込み、自分も乗りこむ。
さっき見られた恥ずかしさもあって名無しさんを締め上げたいが、
さらっとボタンの前に立ち、もう回数が押されているところを見て、その優しさに触れ、怒るにも怒りづらい。
「…みた?」
「なんもみてないっす!!」
「……みてよ…」
「え?」
「収録も見てない?」
「…まぁ収録中は他の子の準備手伝ってみてなかった…」
「さっきは?」
「…ちょっと」
「…ごんべいさんのためにやってあげようか?」
「…いんすか?」
「…ごんべいさん?私が助けてあげる!
元気になーれみーん!☆」
「うわぁぁぁぁぁ!✨」
「…どう…?//」
「いや、めっちゃ可愛い」
「…ならよし…笑///」
「…じゃあ頑張った奈々未に、自分もあげる!元気になーれみーん!!☆」
「は?そんな下らないのやめて」
「うええええ!?」
「私より全力できらつくのムカつくから笑」
「うす…」