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□Thirteenth of the Story of My Life
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白石が楽屋に入ってくると今日はいつもと様子が違っていた。
「おはよ…っ!?」
「わーまいやーんだー」
「げんかくかなー」
「ちょ!なにがあったの!?」
リアルザンビのように黒目が吹っ飛んでいるメンバーが明後日の方向いて喋っている。
床には倒れ込むメンバーもいた。
「あ、まいやん!おはよ!今日は久しぶりに差し入れ作ってきてみたの!!」
「え、いくちゃん?」
「そうーみんな前のことあったからおいしいおいしいって食べてくれてたんだけど…
ちょっと眠たくなってきたみたい!」
「いや、眠気のそれに見えないよ!?」
生田の一言に、すべてを悟った白石はなんとか介抱しようと、近くにいるメンバー(の抜け殻?)に駆け寄る。
が、それは叶わず、生田によってぎゅっと抱きしめられる。
「い、いくちゃん?」
「はい!どーぞ?」
「うぇぇ…どぉしよぉ…今回ごんべいさんは?」
わずかな希望を乗せて、生田に向け紙飛行機を飛ばす。
「ふふふ、私も道具揃えたので1人でやりました!」
「…やっぱりごんべいさんがすごかったんじゃん…」
淡い期待は一瞬で水の底へ潰された。
「まいやん…?」
「あー!いただきます!!ありがと!!」
「やったー!まいやんすきー!」
「なにがどうなってこうなったの…怖すぎる…」
このあと自分もなる状態が見えている状況で、そこに飛び込まなければならない恐怖に、
いつぞやのヒット祈願よりも足がすくんでいた白石だった。