『届かない真実』 完結

□3.命令
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   * *


思った通り、20分後、部長たちは部活に戻っていった。

痛む身体にムチを打ち、のろのろと起き上がろうとするが、すぐに地面に戻ってしまう。

このままじゃ、帰ることもままならない。


リョーマは思わず泣きたくなった。

心配かけたくないのに、心配をかけてしまう。

もう悲しむ両親の顔は見たくないのに……


「(これ以上は母さんが苦しんじゃう……)」


今までのことに対し、母は自分の所為だと責めた。

だから、リョーマは自分のことは何一つ言わないように身を隠すようにしてきた。



………少しでもバレる確率を減らすために



「(まぁ、今はそのせいでこうなってるけどね……)」


全く……どうしろというのだろうか。

青学レギュラーにだけ、バラせばいい?


……絶対にムリ


手塚や大石たちならまだ大丈夫だ。

でも、菊丸や桃城は必ず口を滑らすだろう。

ならば、自分たちの居場所がバレるのも、時間の問題だ。


そんな危険なことはできない。

やっぱり、話せないのだ。


リョーマは小さく諦めの溜息をつくと、再び立ち上がった。

今度はフラフラだが、立っていられた。


「早く帰らないと……」

地面に落ちたテニスラケットを拾い、バッグにしまうと、ゆっくりと担いだ。

そのまま、家にかえるために歩き出す。



……その足取りは不安定だった。



4.誘い
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