瞬時に己の顔に血が巡る。図星だ。
壁にしがみ付く指先に力が篭り、白く変色する。

「そんな淫乱な顔を細君にも見せたのか?」

俯き、何も言わない俺に向かって、坪田は口角を上げて厭らしい含み笑いで詰め寄る。
その言葉に、先程の光景を思い出し、罪悪感という酷く甘い蜜に全身が痺れ始め、思考までもがじくじくと膿みはじめた。

もう、理性を保っているのも限界だッ。

「…ッ」

「どうした?笹嶋」

気遣うような声色で徐々に坪田の気配が近くなる。
俺の視界に坪田の手が映る。片膝を廊下につけた体勢。
すぐ近くに居る事に何故か安堵し、思わず顔を上げ、坪田を見上げると肺から甘い溜息が零れた。



嗚呼、もう…もう―――。



震える手を下へと移動し、ぎゅうっと己の痛く張り詰める股間を握る。すると其処は、既に透明な蜜を溢れさせ、下着をも滑らせていた。
このまま扱き上げて吐精したい。形振り構わず尻穴に埋まっている張り方で中を掻き抉りたい。どんな卑猥な事を言われても良い。

もう…。




―――限界だ。




そう思った刹那、ぐらりと視界が歪み、尻だけを高く上げる体制で額を床に擦りつけ、右手で蜜に濡れる肉塊を扱き、普段とは違う用途をなしている肛門へ空いた手を宛がい、体内に入っている張り型で擦り上げる。

「はっはぁっ…ぐ……ぅんっ」

「…」

坪田が声もなく笑ったような気がしたが、それでも止める事が出来ない。
粘着性のある卑猥な音と、俺自身の喘ぎ声が閑散とした廊下に響く。

「あっぅぁああ」

熱くたぎる男根の根本から亀頭の先へと、皮で刺激を与えながら、只ひたすら擦り、尻に埋まっている張り型の、僅かに出ている所を掴んで入り口から少し入った場所にある痼を強く抉る。

水軍中佐ともあろう俺が、尻穴と男根を弄る様は、さぞや滑稽な事だろう。
きっと坪田も呆れてる…売女の様な淫乱な俺に――。
「ふぃ、ひっひは」

それでも止められない。

…いや、坪田がこの浅ましい姿を冷ややかな目で見下しているのかと思うと、体は更に快感に震えるのだ。もっとこの醜い姿を…同じ男の前で羞恥もなく自慰をし、悶える様を蔑んでほしい。もっと罵ってほしい。もっと…、もっと俺を、俺だけを見ていてほしい。

「つっつぼ…〜〜も、も・ぉっでぅ・・で」

「誰が許した?」

酷く冷たい声が聞こえたかと思った時だった。

「ひっひぎ!?」

突然後頭部の髪を鷲掴みされ、勢いよく上へと向かされると、また感情の無い声で絶望的な事を言った…いや、俺に命令したのだ。

「俺の許可なく出すのは許さんぞ」

「あぁぁぁ…」

坪田の絶対的なその一言で絶望感が思考の全てを支配し、俺はただただ吐精の出来ない辛さに深い悲しみを零す。
―――絶対なのだ。
彼の言葉は何一つ逆らってはいけない。それは、俺が作り出した『罪』による『罰』なのだから…。

「お前は俺を裏切った。裏切ったんだよ!定信!!」

己の欲望の捌け口さえも奪われ、だらしなく口端から涎と止め処なく泣きじゃくる俺を、潰れてしまいそうなほど抱きしめた坪田の声は震えていた。

あの坪田が、弱々しく俺の名を呼び、作り出してしまった『罪』を責める。仕方ないじゃないか、俺には体裁がある……子を成さなければ細君が後ろ指を指されてしまう破目になるのだから。

「子が出来れば…もう、俺は……俺は…っ」

坪田に対する気持ちが消えたわけではない。だからと言って望まない祝言を挙げたわけでもない。
お互いの…絆を護るためなのだ。

「つぼ…たっ。死ぬ時はっふ・ぅん、い・っしょ…だ」

淫蕩する頭で、精一杯の愛を伝える。
表情の見えない坪田からは、すすり泣く声が聞こえた。


―――俺は、死の淵のように暗い深海よりも、お前を愛しているんだよ。








― 終劇 ―

前編へ戻る

――――――――

朝比奈銀爾様から相互記念に頂いた坪笹でっす!
人様の!人様の坪笹ですよ!
だいこうふんの余り体から一通りの汁が出そうですむしろ出る

坪田がキチクダーあーでもシメがせつない…!
これの前編前の例のブツを突っ込まれる(こらこら)瞬間と後編の後がどうなっちゃったのか気になってるとか言ったらだめですか
だめだと言われてもこの乱れた定信では気になりすぎるので言っちゃいます

朝比奈様ありがとうございました…!
↓そんな朝比奈様のサイトはこちら
花鳥風月/朝比奈銀爾様

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ