短い夢


□※流星群
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今日の夕方から明日の未明にかけて、流星群が見られるでしょう
ただ、寒さが厳しいので観測される方は暖かくして見てくださいね


鶴姫が朝の慌ただしいときに棒立ちして見たのはそんなニュースだった





「今夜、流星群見に行きませんか?」


教室に広がったその声はしかし、目の前の車椅子の生徒にしか向けられていないようだ

車椅子の生徒、大谷吉継はきらきらした目をさらに輝かせる鶴姫を一瞥しすぐに手元の本に視線をそらす


「我は風魔ではない。人違いよ」

「宵闇の羽の方は今朝から見つからないんです…」

「(逃げたか…)ならば雑賀と行けば良かろう」

「いえ!決めました。大谷さんと行きます!」


勝手に決めるな。とでも言いたげな目線を送れどもそれが鶴姫に通じるはずはなく、つらつらと待ち合わせの時間と場所を言っている

大谷は本を読むことを諦めたのか、あからさまに溜め息を吐きながら栞を挟み閉じた


「行きたいのは山々だが我は見ての通り車椅子よ。女子に迷惑を掛けるなど主が良くても我が許さぬ。他を誘え。よいな?」


優しい声音でさも申し訳ない様に紡がれた言葉はもちろん、体よく断るための方便だ
大谷にしてみたら「行きたくない。寒い、面倒」これだけなのだから


「じゃあ三成さんも誘います」


しかしやはり鶴姫には通じなかった…


「なぜそうまでして我を誘う。主ならば他にもいよう?」

「はい。でも折角の流星群ですから、どうせなら楽しく観察したいです」

「そうであろ。ならば長曾…」

「だから大谷さん、一緒に行きましょう」

「かぺ……?」


大谷は信じられないものを見るような顔で、少女漫画のような輝くオーラを放つ鶴姫を見た


「主は異星人であったか」

「まあ!宇宙規模の可愛さだなんてそんな!」

「我といて楽しいなど三成くらいだと思っておったが…やれ物好きよな」


大谷は少しだけ、ほんの僅かわからない程度頬を緩めて笑んだように見えた
口ではいくら自分を卑下しようと、またそういう扱いを受け入れようとやはり悪い気はしないのだろう


「そんなことないです。もうちょっと素直になれば大谷さんもきっと人気者ですよ」

「ヒッヒヒ…そうかそれは気付かなんだぞ。素直にな…。では少しばかりなってみるとするか」

「はい、一緒に流星群を見に行きましょう」

「寒くて面倒よ、行きたくない」

「なんてこと!」








※※※
書いといてなんだけど大谷さんは生徒でいいのか?

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