捧げもの
□揺れるカーテンと、心情。
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気付いた時にはもう手遅れで。
薄れゆく意識の中、焦った顔のシルバーが見えた
………気がする。
揺れるカーテンと、心情。
その日は、朝から天気が悪かった。
雨は降っていなかったけど、どんよりと曇る空に、ゴールドは眉根を寄せた。
「………あたま、いてぇ…」
カーテンに手を掛け、窓の外に目をやる。
それと同時に、部屋の扉がコンコンとノックされ、開いた。
「…ゴールド?おはよう、起きてる?」
「……かあさん、」
「あーぁ、酷い顔してるわよ。
今日、学校休む?偏頭痛、酷いんでしょ」
気圧の変化などでも酷くなる偏頭痛は、季節の変わり目…とくにこの梅雨の時期はキツイ。
偏頭痛持ちのゴールドには、今日のような不安定な天気は苦痛でしかなかった。
「…いや、いい。今日は数学の小テストがあるし、クリスとの約束事もある。
本当にキツかったら、保健室行くし」
そう言って、制服のカッターシャツに手を伸ばし、ゴールドはベッドからおりた。
「無理はしないのよ」
早退してもいいから、という念押しに、ゴールドは少々呆れながらも
「わーってる」
と返した。
ぱたん、とドアを閉じて去っていく母に、一つ溜息をこぼす。
「……………」
制服に袖を通しながら、
あぁ、あたまいたい
そう、思うゴールドだった。
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