青と赤
□第一部 序章
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リトたちが住んでいる所から遠い場所で1人の少女が大きな屋敷の窓から外を見つめていた。そこからは青く広い空がと街は活気で溢れているのがよく見える。だが彼女、レイン・フェライスはため息をついた。
「また退屈な1日がはじまるのね……そうでしょう?お父様」
レインはすこしだけ父親に微笑んでみせた。だが、父親は表情を変えないまま娘を見ていた。
それに落胆したレインはつまらなさそうに窓を開けた。強い風がブワッと吹きこんでくる。レインの顔は明るく笑っている。そして、窓の外に身を投げ出そうと―――。
「レイン!?」
一人の青年がレインの腕を掴んで窓の中に引っ張った。
「父上!どうして止めてくれなかったんですか!?」
青年とレインは兄妹らしい。父親は冷たく言い放った。
「レインの好きにさせればいい」
アルフといわれた青年は辛そうな顔をして、レインを連れて部屋から出ようとしたところを父親が後ろから声をかけてきた。
「アイツがレインを選んだ。お前はフェライスの跡取り……一緒に来るんだぞ。いいな?」
その言葉に動揺したがアルフは無視して部屋から出た。
部屋から出るといきなり目の前に満面の笑みを浮かべた少女が立っていた。
「リィム、いたずらは余所でやれ…僕は機嫌が悪いんだ。」
アルフは低い声で怒った。人の気持ちも知らないで妹は今の状況を楽しんでいる。
「姉様が選ばれたんでしょ?私も一緒に行きたいなぁー……お願い、兄様」
上目遣いで兄に言う。
アルフは即答した。
「ダメだ。リィムはまだ子供だからね」
そう言うとレインを引っ張って歩いた。後ろの方でリィムが文句を言っているのが聞こえた。
それに苦笑しながらアルフは一人悩んだ。
(父上、僕にはあなたがしようとしていることがわからない……)
アルフが悩んでいる隣でレインは幸せそうに微笑んでいた。
―――‐‐
父親は一人残された部屋で歩き回りながら、呟いた。
「そろそろ村に残している家族を呼ぼうか……だが……そうすれば、予言にしたがうことになる」
レインが開けた窓から遠くそこからは見えない場所を見た。もうすぐ2つの時間が交じわろうとしている。それが吉とでるか凶とでるかはセイレーンにもわからなかった。過去から続く気が狂いそうな計画なのだ。もう自分も狂っているとセイレーンは感じていた。
「予言」という大きなもののせいで。
予言の書抜粋
『闇が世界を包み込む時この世界は終わるだろう、だが運命は変えられる。予言を受け継ぐリト・セイスが私と出会う時この運命は―――』