青と赤
□第六章
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(俺はやっぱり、父さんを信用できねぇよ……だから、このことを誰かに……アルフに!)
オズワルドは1人で静かな街を歩いていた。
朝早く人は誰も居ない。
「くそぉ……アルフどこにいるかわからないしー……なんか腹立つ!」
1人、ぶつぶつ言いながら歩いていると路地から2人の男女が現れた。それは彼が一番会いたい人だった。
「あ、アルフ!と誰……?」
「オズワルド!?何でここに!?」
「あぁ!それが……父さんが−」
オズワルドはアルフに父のあの手紙について話した。
―――‐‐
「父上が、何かしようとしている?」
オズワルドの話しを聞き終えたアルフは辺りを気にしながら言った。
「そうなんだ。手紙に詳しいことは書かれてなかったけどさ……絶対にヤバいことになりそうで……」
「そうか……では、やはり」
「やはりって、アルフは知知ってたのか?」
オズワルドの言葉に彼は顔を暗くした。
「知ってたというより、彼女……エストア姫から聞いたんだ」
そう言うと静かにずっと自分の隣に座っている女性を見た。
「そうだったのか……って、姫?えっ?嘘、姫様!?」
よく見ると彼女は優しい顔立ちをしていて、肩ぐらいまである薄い茶色の髪に青い瞳だ。オズワルドは今まで座っていた場所から驚いて立ち上がってしまった。アルフは苦笑して静かにと言う。
「俺、王族のこととか全然興味ないからというか……王子がいるのは知ってたけどまさか姫もいるなんて」
慌てるオズワルドを見てアルフはまた笑うと言った。
「知らないのは仕方ないことだ。彼女はこの国の王族ではないから……」
「ふーん……まぁ、それより、何で父上のこととかだ!エストア姫、あんたが知ってることを話してくれるか?」
エストアは頷くとゆっくりと口をひらいた。
「実は私……アスレナーク王子から奇妙なお話しを聞いたのです。王子は自分が城から消えるかもしれないという話しを……」
「アスレナーク王子はこの国の第一王子だよな。なんで、その人が消えるって言うんだよ」
「自分はある方に命を狙われているからだと……」
悲しそうな顔になったエストアにオズワルドは急にドキリとした。
「まさか、王子は……」
「いえ、殺されたわけではありません。生きていますわ」
「あ、あぁ…そっか」
オズワルドは最悪の事態を想像していたが、彼女の言葉を聞いてほっとした。
空を見ると朝日が登ってきていた。
「ただ、王子は1ヶ月前のミグトラの将軍就任式パーティが終わった後にいなくなってしまったのです」
「王子も消えたって!?」
「アルフから聞きましたわ。貴方の弟もいなくなってしまったのですよね」
エストアが言い終えるとアルフが話し始めた。
「僕と姫はそれが偶然だとは思っていない……だから、さっき城を抜け出してきたんだ。2人でその秘密を探そうと思って」
「ウィルに王子に父さん……全部何か繋がりがありそうだな」
腕組みして考えるオズワルドにエストアが言った。
「私はミグトラが絡んでいると考えていますの」
「ミグトラか……いつも、考えたらミグトラって名前が出てくるし!イライラする!」
「落ち着いて全てを調べよう、だけど早くだ……父上は紅の里が無くなっていると知っていながらリトを行かせたのなら彼女も危ない……」
両手で頭を押さえイライラしている弟にアルフは言った。
「だよな……そうだ!アルフ、俺も協力させてくれよ!」
「駄目だ。君は母さんのいるところにリィムを連れて帰ってくれ」
「リィムなら乳母と一緒に村に帰らせたよ!だから……」
それでもアルフは首を横に振った。
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