青と赤


□第四章
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「誰かがいるわ!」

リトは前方を見つめた。

「助けて下さい…」

「あなたは!」

現れた者の姿にリトは驚いた。小さな体、尖った耳、赤い目、金色の髪そして背中に生えた羽。

「妖精…フェアリーだ…」

エドが言った。
その妖精は力をふりしぼってリト達の側に来た。
羽は所々破れていて無残な姿だった。
リトは優しく妖精を手に乗せた。

「貴方達は…人間…」

「リトと言います」

妖精はじっとリトの目を見ると話し始めた。

「貴女は信じられる……どうか、私達を助けて下さい。…私達の住みかが王の兵達によって荒らされているのです!」

「え……王の兵って…」

エドは横から妖精を睨んだ。

「王の兵は今は出撃してはいない。でたらめを言うな」

「でたらめじゃない!真実よ!」

妖精は傷だらけの顔でエドを見つめた。

「リト、そいつは怪我をして頭がおかしくなったんだ…そいつの言うことを信じるな」

リトは黙っていた。

「リト、わかったか…?」

「エド、私は妖精達を助けたい」

「な、なんで…!」

エドは驚いた。

「今は紅の里に行かなければいけないんじゃかったのか…?」

リトは傷ついた妖精をそっと手で抱き締めた。

「わかってる、だけど助けたい。母さんが言ってたの妖精は嘘はつかないって…妖精達が傷ついていいるのに放っておくことなんて出来ないよ!」

リトは手の中で震えている妖精に大丈夫だよと言う。エドはため息をつくとリトに言った。

「お前はときどき我儘だな…妖精は紅の里とも関わりが深い、助けて損はない」

「うん!ありがとう!」




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