青と赤
□第三章
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その頃、リトの剣を盗んだ者がどこか薄暗い場所でいた。
「今日もいい収穫だった」
紫色のおかっぱ頭の少年がたくさんの宝石や剣を腕に抱えて嬉しそうに笑った。
少年のそばには白髪の老人が静かにいた。
「あははは!……このアステル・テナ・メルフォスに出来ないことはないのだ!!」
アステルという少年は誇らしげに胸を張った。
老人は目を潤ませるとズボンのポケットからハンカチを取出し鼻をかんだ。
「ズズズっ…!さすが…坊っちゃんです!」
誇らしげにしていた顔をアステルは険しい表情にする。老人の言葉に気分を悪くのだ。
「坊っちゃんではなく…『アステル様』だ!わかったか、トゥナ?」
トゥナと呼ばれた老人は慌ててアステルに頭を下げた。
「すみません…!美しいアステル様!」
「わかればいいんだ…ふふっ、僕はアステル!この世で一番美しい者!」
アステルは老人に背を向けると笑い初めた。
そんな、アステルの背中を優しい眼差しで見ているトゥナ。
(…アステル様は天才だ、地面に穴を掘りこんな地下室を作るなんて………!)
トゥナはまた、ハンカチで鼻をかんだ。
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