青と赤


□第九章
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ウィルは地下へと続く暗い階段を降りて行く。壁の壁画を指でなぞりながら、ゆっくりと。

幸せになる為に僕達は何度も、何度も、生まれ変わった。姿は違えど、心は同じだった。僕達は近くで生まれ続け、そして出会い、そして……不幸になる、と壁画には描かれていた。

「この壁画……どうして……」

ウィルは動揺する気持ちを落ち着かせると、絵の少し下に掘られた文字を読んだ。

自分のことを理解してほしいと思うけれど、他人は自分の気持ちを完璧に理解出来ない。昔から人はそう言っている。だけど、僕はそう思わない。人と人は理解しあえる。

なのに、何故、他人のことを理解しないのだろうか?

長い時の間、ずっと、考えて……出た答えが予言。

予言があるから人は他人のことなんて気にしない、予言さえあればいいと思っている。
予言は人を惑わせる。

「だから、壊す……でもね、僕は違うんだよ」

ウィルは壁画を見つめて苦笑した。

「僕は嫌いな予言を使って、今度こそ幸せになる……ね、リト?」

一番下まで降りて行くと目の前にミグトラの姿があった。その隣には右にはメディ、左には火依がいた。
ウィルは気持ちがさらに暗くなった。

「あ……キノコ」




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