青と赤


□第一章
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紅の里は純粋な赤の民が住む唯一の里だった。それは赤の国にとっても貴重で里は重要に扱われていた。
それ以外にもう二つ重要に扱われている理由があった。一つは初代の長の妻が赤の国の王女であったこと、そして二つ目は予言を守っていたからだ。



これはまだ秋花が生まれる前の出来事。
紅の里は王の管理の下、予言を厳粛に守っていた。
秋花の母、美亜季(ミアキ)は予言を守る守護者で毎日忙しく働いていた。
一面、真っ白な雪で降り積もった紅の里を美亜季は幼い息子を連れて予言が管理されている場所へ向かった。

「母さん、大丈夫ですか?」

「何が?」

美亜季が振り向くと母の後ろを一生懸命について歩く蓮が少し怒った顔をしている。つい先日、六歳になったばかりの息子は母の横に来ると子供らしからぬ発言をした。

「僕は母さんともうすぐ生まれてくる弟か妹を守りたいんだ。だから心配してるんです」

美亜季は笑った。

「ありがとう、蓮」

蓮は照れて横を向いた。美亜季は蓮の頭を撫でると屈み込み蓮の顔を見つめた。
「蓮、母さんはちょっといつもの場所に行って来るね。だけど心配しないで待っていて」

蓮は小さく頷いた。息子を残して美亜季は暗い洞窟へと入って行った。
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