浮世綱渡り

□2。
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美しい、綺麗な風景だということは認めよう。

咲き誇る桜も雲ひとつないそらもそこに浮かぶまん丸な月と百億ドルの夜景も真っ青な瞬く星々も世界の絶景百選に選ばれてもおかしくないくらいだ。

今なら声を張って『俺日本に生まれてよかったぜ』と叫んでもいい。

惜しむべきは先日買った携帯のカメラ機能があまりよろしくないことか。

下手なデジカメよりいい画質だといううたい文句に釣られて前のものと換えたものの、実際は悪いというほど悪くはないがあれは誇大広告だろうという程度。

つまり普通。


この風景はプロのカメラマンが何百万するカメラで撮影してこそだと思うのでかじってもいない素人丸出しカメラワークの俺は大人しくしておく。


とにかく素晴らしい景色なことは認める。



しかし、だ。



万歩譲っても、俺が歩いていたのは現代日本技術の結晶であろう巨大マンションが集う住宅街であって外国人の頭にあるようなちょんまげハラキリ的情緒溢れる城の敷地内ではない。





決して。
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