ごっちゃに

□鳥の想うこと
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何人もの天使を見てきた。


天使に人という言葉は適切なのかと考えたこともあったがなんのことはない。

天使は人間だ。


人より無知な羽の生えた人間。

そしてその身に余る力を持った我々のエサ。


天使を見て何かの感慨を得たことはなかった。


誇り高いというよりも無知ゆえの驕りからくる態度には多少苛々させられたが、殴られる男にしても犯される女にしてもそれだけだったし、馬鹿なことをしている暇があったらさっさと力を搾り取れと部下に指示を出したのも悲鳴が耳障りだったからで人道的な思いは一欠片もなかった。


天使は道具、人は駒。

それだけだったのに。


イザヤール、あの裏切り者の天使の弟子を。

あの人と天使のあいのこのような半端な存在を、なぜ自分は美しいと思ったのか。


滅亡した帝国と共に蘇り今や魔物となった自分に感情があることも驚きだが、そもそも敵に対し一瞬でも心を動かされたこと自体前ならば絶対にありえないことのはずで。


―――人より人らしい魔物とは全くもって馬鹿げた話である。



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