ラストフレンズ

□ラストフレンズ
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「帰ろうか、美知留。」

ほぼ毎日のように私の仕事場に迎えにくる宗佑。でも今日は何かが違った。
いつもは「帰るよ。」と一言だけなのに…。




「ちょっと待ってて…。荷物持ってくるから…。」

「わかった。早くしてね。」


そう言って笑う笑顔が私の背筋を凍らせた。




私の手を掴んでぐんぐん進んで行く宗佑の後ろ姿を見ながら速さを合わせるため少し小走りをする。
ギュッと握られている手の痛みをやっと確認出来るくらいの思考の中、導かれるまま家へ向かった。





マンションについてガチャンと背後で宗佑が家の鍵をかけたとこから後は、よく覚えていない。
ただ気付いたらいつの間にか壁に追い詰められていた。
顔の横には逃がさないとでも言うように宗佑の手。


恐る恐る顔を上げてみると、宗佑の冷たさに駆られた目があった。


「そ…うす…」

名前を呼ぼうとした声は、バシン!という乾いた大きな音にかき消された。
叩かれた方の頬を手でおさえようとすると、その腕を掴まれ怖くなって私は目を逸す。すると「目、逸らすなよ。」ともう片方の手で私の髪の毛を引っ張って無理矢理顔を上げさせられた。



「今日のアレはなに?」

「アレ…?」







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