※→R-18
□宍戸亮9月29日(林檎〜誘惑)
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りんごは赤い。
けど最初から赤いわけじゃない。
太陽の日差しをいっぱいに浴びて
太陽の愛情をいっぱいに受けて
真っ赤に真っ赤に熟すのだ。
そう
まるで自分は美味しいよと…誰かを誘うかの様に…
〜林檎<誘惑>〜
「宍戸の誕生花はリンゴだって!」
四時間目が終わり、テニス部のお決まりメンバーが食堂に集まる。
宍戸はいつも授業の半分は寝ているのでまだダルくて覚醒しきっていない体をムリヤリ起こして食堂へと足を運んだ。
そんなことお構いなしと、この連中達はテンション高めで話しかけてくるので毎度のことながらうんざりしているのが…なんだかんだ気がついたら自分も話に夢中になっていたりするのだ。
そんなわけで…本日の話題は忍足が持ち出した“誕生花辞典”へと話が進んでいった。
いつも思うが何故男のお前がそんなもん持ってんだよっとツッコミたくなるが、忍足だし言ってところでどうにもならないし黙って聞いていることにした。
なのに忍足の野郎…
「宍戸さんがリンゴなんて以外ですね!ププッ…」
「長太郎…お前とはもうダブルス解消だな」
「冗談ですよ宍戸さん〜!!」
そう。オレの誕生花がリンゴだなんて言い出しやがるから事態は変わった。
「まぁまぁ宍戸。ええやんかリンゴ!かわいらしゅうて宍戸に似合うでぇ?」
周りもオレの誕生花が以外だったのか食べるのを中断して腹を抱えて笑っている。
ムカつく…!
「嫌味にしか聞こえないんだよ忍足!!」
「あ、バレた?」
そんな会話をしながら皆とじゃれあっているとふと綺麗なブルーの目をした人物と目が合った。
跡部もやっぱりオレには似合わない…って思ってんのかな…?
跡部以外のメンバー達はいつもわいわいと盛り上がり、食事も休み時間ギリギリまで食べ終わらないのだが
跡部だけは適当に皆の会話に相づちをうっては早めに食事を終わらせどこかへ行ってしまうのだ。
今日も適当に話し流してどっか行っちまうんだろうなぁ…
あまり不本意ではないがせっかく自分のことで話しが盛り上がっているのだ。
愛しい人にもなにか言ってほしいと思ってしまう。
ま、跡部は生徒会もあるし…オレなんか眼中にないよな…
あきらめたその時だった。
目が合ったまま跡部は微笑み口を開いたのだ
「…誘惑。」
「え…?」