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□僕らのコウノトリ
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「タケの子どもが欲しい」

部室の数人がジュースを吹き出し、何人かがロッカーに指を挟んだ。




僕らのコウノトリ



「山ちゃん、いきなり何!?」
「暑くて頭沸いちゃった!?」
「てゆーか、そういうのは本人に言ってくださいよ!」
「そうだよ。何でよりによってタケのいない時に言うんだよ!」

口々に喚く部員たち。
しかし、山ノ井の答えは短かった。

「だって、欲しいんだもん」

一同沈黙。

だが、

「そりゃあ、しょうがないなぁ」

主将の声に、全員目を丸くした。

「和己!お前は呑気過ぎるんだよっ!」
「だって慎吾、相手を愛してたら、その人との子どもが欲しくなるのは自然なことだろ?俺も欲しいし」
「俺が今問題にしてんのはそんな当たり前のことじゃなくてだな、ああもう!準太も顔赤らめてんじゃねーよ!鬱陶しいなぁ、クソッ!」

島崎の反論虚しく、仲間を見つけた山ノ井はすぐさま河合の元へ駆けつけた。

「だよね!やっぱ欲しくなるよね!」
「うん。まあ、実際には無理だけどな」
「そんなこと言わないで下さい!俺、和さんと俺のために頑張りますから!」
「そうだよ準太!俺らがどうにかして泳がない方の配偶子を作って…」
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