◆乙女赤也の日常



衝撃




(はぁー授業だりぃ…)


苦手な英語の授業中。まだ始まって10分も経たないというのに、赤也はもうだらけモードに入っていた。


(早く部活行きたいな…
そしたら丸井先輩にも会えるのに…)


そんな事を考えながらも、次第に瞼が重くなってきた。しかも赤也の席は窓側の一番後ろ。堂々と寝れる上に窓から入ってくる風が心地よい。寝るか…と思い始めたその時、校庭に愛しいあの赤髪を見つけた。


(あっ丸井先輩…!先輩体育の授業なんだ)


丸井を見つけると、眠気はどこかへ飛んで行った。

(…てか俺ってげんきん)

そんな事を思いながらも、目はサッカーをする丸井に釘付けになっている。


(やっぱり先輩何でも出来るんだな。サッカーしてる先輩もかっこいい…)












キーンコーン…

丸井に見とれている間に授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。結局授業の内容はなに一つ頭には入っていない。しかし赤也はそんな事どうでもよくて、今も丸井に夢中だ。


(あ、先輩も授業終わった。………ん?あれ…)


その光景は突然赤也の目に飛び込んで来た。
試合を終えた丸井に、真っ先に駆け寄る女が一人。笑顔でタオルを渡している。丸井も笑顔で受け取り、楽しそうに話している。端から見たら恋人に見えなくもない。しかし丸井から彼女がいるという話は聞いた事がない。
だから心配する事はないと思う反面、自分だけ知らないのかもしれないとも考えられる。自分では仲のいい方だと思っていたのに、丸井から見ればただの後輩なのかもしれない。恋人にも程遠いのに、後輩としても思っていた以上に遠いなんて。しかももし彼女がいたら…。赤也の中ではそんな想いがぐちゃぐちゃになっていた。


(違う…違うっすよね……?)


何とか前向きに考えようとするが、その胸は締め付けられ苦しかった。







つづく...


名前を記載して下さった方にはお返事させて頂きますv



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