Sub novel
□愛してる
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━side 仁王━
俺には本当に手離したくないと思うやつがおる。
少し前まで俺はこんなに真剣に人を好きになることはないだろうと思っとった。
しかしあいつ、比呂士に出会って、比呂士のことを知る度に愛するということを知った。
比呂士は俺にとって特別な人間。その証拠に、比呂士にだけはペテンが通じん。俺のこと知り尽くしとるっちゅうとこじゃな。
比呂士は本当の俺を真っ直ぐ見てくれて、俺が辛い時とか一番に気づいて気に掛けてくれよる。
俺は誰にも気づかれんようにしとるのにのー。
人に自分の弱い所を見せたくないからな。
でも比呂士に気づいてもらうと、安心する。比呂士も俺を好いてくれとるっちゅうのが伝わってくる。
だから俺は比呂士を裏切りたくないと思っとる。
そして誰にも渡したくない、俺の世界で一番大切な人じゃ。
『愛しとうよ、比呂士。何があっても離さんからな』
end.