Main novel
□理屈なんて抜きで
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「ってめー!このワカメ!!」
「ワカメってなんっスか!?デブン太先輩には言われたくないっスよ!!」
「なんだとこのバカ也ーっ!!」
今日も朝から赤也と喧嘩した。前々からよく喧嘩はしてたけど、最近はここ毎日のようにしてる。何故かなんてよく分からない。とりあえず赤也がむかつく。
なのに俺は喧嘩した後いつも後悔してる。あんなこと言うんじゃなかったって。
そんな俺がまたむかつく。
「ブン太、んなこわい顔してどうしたんじゃ」
俺の机の向かいに座る仁王が声を掛けてきた。
そういえば英語の自習プリントをやってるんだった。
「別に。赤也がむかつくとか思ってただけ」
「そういえば今日も喧嘩しとったな。ブン太はよっぽど赤也が気になるんじゃな」
仁王はにっこりと妖しい笑みでそんな事を言ってきた。
「はぁ?なんだよそれ。意味分かんねー」
「だってそうだろ?なんも思っとらんかったらむかついたりせんて」
「だから、気になるんじゃなくてむかつくから気にするんだろぃ」
「ほーう。その割にはいつも赤也と喧嘩した後は元気ないみたいだけどな」
その言葉に俺は少しびくっとした。元気がないつもりは無かったけど、なんとなく図星を突かれた気がしたから。
「別に、ただ言い過ぎたかなって思うだけだよ」
「いつもか?」
「ああ…まぁ、結構」
まるで誘導尋問でも受けたように俺は言うつもりもなかった事を言ってしまった。まぁ、こいつに隠し事したって無駄なんだろうけど。
なんて思ってると仁王はまた変な事を言い出した。
「なるほど。ブン太、それはきっと赤也に恋しとるぜよ」
「はぁー!?ほんっとお前意味分かんねぇな。大体俺が赤也を好きになる要素が全くないだろぃ」
「なんでじゃ?赤也可愛いやないの。まぁ、柳生ほどじゃないけどな」
然り気無く柳生の自慢をする仁王だが、何となく面倒だったのであえてそこは突っ込まないようにした。
「どこが可愛いんだよ…。バカで我が侭で先輩を先輩と思わないクソ生意気な態度といい、好きになれるとこなんて全然ねーじゃん」
「ふ…ブン太はバカだな。理由なんて細かい事一々いらんぜよ」
「どーゆう意味だよ」
「まぁその内分かるんじゃね?」
「なんだよ。仁王のくせにむかつく」
「プリッ」
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