*ありきたりな僕らの日常*
□ありきたりな僕らの日常6
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「キスしろ。」
「…何で?」
「理由なんてあるかよ。」
「えー…。」
「何だよ、出し惜しみすんなよ。」
「出し惜しみちゃうねん。そんなしとったら有難味失せるやろ?」
「俺がしたいんだからしろよ。」
「だからそんな簡単にするモンちゃうて。」
「だー!もー!男らしくねえなー!」
「男らしい関係あらへんやん。」
「いーからしろよ、ホラ、んー。」
「しゃあないなぁ…。知らんで?」
「…?何で腕にすんだよ。」
「さぁな?」
「何で口にしねえんだっつーの!」
「グリル・パルツアーの名言、知らん?」
「誰だよ、ソイツ。」
「手の上なら尊敬のキス。額の上なら友情のキス。頬の上なら厚情のキス。唇の上なら愛情のキス。閉じた目の上なら憧憬のキス。掌の上なら懇願のキス。
…………………腕、と首なら欲望のキス。さてそのほかは、みな狂気の沙汰。」
「…………………っ…!!」
「さぁ、どないする?岳人。」
END