小説部屋
□ヴァリアーの夏休み
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チリーーン
夕陽が空をオレンジ色に染めている、そんな時間。涼しげな風鈴の音が部屋に響き渡る。
至るところの窓全開の和室には、ぐったりと畳に寝そべる男たち。
「暑い。マーモン、クーラーつけてよ」
「なんで僕が。それにクーラーは今故障中だよ、ベル」
「う"お"ぉいガマンしろぉ!風が冷たくなってきただろうがぁ」
「貴様の髪が一番暑苦しい」
「ボス、扇風機がここに」
暗殺部隊ヴァリアーの面々は、日本の夏にダウンしていた。
そんな中。
バァン!と引き戸を勢いよく開け、部屋へと入ってきた人物が。
「「「「「なっ…」」」」」
その人物を捉えた視線を逸らすこともできず、その場にいた全員の顔が一斉にひきつり、青くなる。
普段は夏の暑さに負けないほど暑苦しいその男は、きらびやかな女物の浴衣を着ていて。
…言っちゃ悪いが、最高に気持ち悪い。
男はそんなみんなの白い目を気にすることもなく、大きな荷物を抱えて叫んだ。
「みんな!夏祭りに行くわよ!」
「「「「「…はぁ?」」」」」
もはや吐き気すら催しているみんなの返事を無視し、ルッスーリアはいそいそと大きな荷物を広げ始めた。
「さ、ベルとボスはこれ着て。
マーモンはこれね!レヴィはこれ」
ルッスーリアは4人に包みを渡すと、スクアーロの腕をガッチリと掴んだ。
「あなたはこっちよ」
「なんだぁ?ちょ、止めっ」
ズルズル…
力の強いルッスーリアには、スクアーロの必死の抵抗もむなしく、隣の部屋に連行された。
「「「「…;」」」」
唖然と見送った他のメンバーは
「う"お"ぉい!!よせぇ!止めろぉ!うわあぁあああああ!!!!」
スクアーロの悲痛な叫びを聞いて、気乗りはしなかったが包みを開いたのだった。