小説部屋
□いつも変わらぬ健やか健気
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雲雀は体育館のギャラリーの一角で退屈そうに欠伸をした。
「草壁」
「なんでしょう委員長」
「なんでみんなこんなに群れてるの?いい加減咬み殺したいんだけど」
雲雀の見下ろす先は、体育館に集まる生徒の集団。
「今日は全校集会ですから」
「……そうだったね」
不満そうに取り出しかけたトンファーをしまった雲雀に、草壁は密かに胸を撫で下ろした。
集会があるごとに生徒を咬み殺されてはたまったものではない。
「ならさっさと始めてよ」
「はい!」
「集会なんてめんどくさいなー」
「そうですよね十代目。こんな無駄な時間を過ごすより、ファミリーの今後について熱く語りましょう!!」
「いや…それは遠慮しとくよ…」
「ははは、またマフィアごっこか? 獄寺はいつもそれなのな」
キラキラと目を輝かせる獄寺に、綱吉は若干引きぎみに答えた。
山本は相変わらず遊びと勘違いしている。
『これから全校集会を行います。まず始めに、校歌斉唱』
司会者の声の後、スピーカーからは並中校歌が流れ始めた。
♪〜♪〜♪〜ガガガ…ブツッ
しかし、前奏の途中で音楽は途切れてしまった。
「あれ、どうしたのかな」
「故障か?
」
生徒たちがざわざわと話す中、スピーカーから司会者の声が。
『機械の故障のため、今日の校歌斉唱はなしになりま『ヒュッ』ヒイイッ!!』
なにやら風を斬る音が司会者の声を遮った。
その後すぐに司会者たちの悲鳴が。
『校歌を歌わないって?』
「ひ…雲雀さん!?」
スピーカーを通して聞こえてきたのは、不機嫌そうな雲雀の声。
「雲雀さん校歌好きだから、歌わないなんて言ったら…!」
『校歌を歌わない集会なんてただの群れと同じだよ。ここにいる全員咬み殺す』
「やっぱりー!!」
綱吉は頭を抱えた。
雲雀が本気になれば、全校生徒全滅は免れないだろう。
体育館中が凍りついたその時。
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