未来部屋

□たまには Rside.
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その女は、黒髪の少しウェーブのかかったロングヘアー。
垂れ目でペリドット色の瞳が美しかった。

女は悲しそうに、それでも優しく微笑んだ。
似てるとは思っていたけど
初めてその姿がアイツと重なったんだ。

パァン

引き金を引いた瞬間、吐き気がした。


「今日、最後の愛人を殺った」

帰ってきたリボーンは、淡々とした口調でそう告げた。
綱吉はそんな彼に困ったような笑顔を向ける。

「そっか」

この数年間、リボーンが愛人たちとの関係を切っているという噂は聞いていた。
最後の1人は、裏切りの疑いがかかっているファミリーの1人娘だったはず。
殺したということは…
いずれにせよ仕事が増えそうだ。

「女は銃口を向けられても動じなかった。
それどころか、オレに殺られるなら本望だと微笑んだんだ」

ふ、と笑ったリボーンの横顔を綱吉はじっと見つめた。

「オレは最期になにか言おうとした女の頭を撃ち抜いた」
「珍しいね」

余裕があるとき、いつもは最後の言葉くらい聞いてやるのに。

「…なにを急いだんだろうな、オレは」
「……今日は家でゆっくりしなよ。後始末は任せて」



オレはツナから休暇を言い渡され、ランボの家に向かった。
アイツは本を読んでいたから勝手にシャワーを使う。

その間もあの女の最期が頭から離れなかった。

置いてあったシャツを失敬してバスルームから出ると、黒髪の癖っ毛が目に飛び込んできた。
本に没頭しているのか、オレが出てきたことに気付いていないようだ。
後ろから本を覗き込むと、水滴が落ちたようでランボは怒ったようにオレを見上げた。

他愛ない言葉を交わした後、ランボはまた本へと目を戻した。

その瞬間、いきなり目の前が真っ白になった。


響く銃声

飛び散る赤

スローモーションで倒れる女


フラッシュバックだ。


倒れた女を見下ろすと、いつの間にかその姿は最愛の彼と変わっていて

彼の笑顔や泣き顔を、もう二度と見ることができなくなった

共に笑い合うことも、喧嘩することさえも



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