未来部屋

□たまには
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ポタ、
首の後ろに水滴が落ちた。

「ねぇ、冷たい」

ランボはソファーに座って本を読んでいたのだが

ポタ、

また落ちてきた水滴がひとつ、本に染みを作った。

「ちょっと」

むう、としてランボは首だけ動かして上を見上げる。

そこには風呂からでてきたばかりのリボーンの顔。
リボーンはソファーに手をついて後ろから本を覗き込んでいた。

(……近い)

思ったより近くて不覚にもドキッとしてしまった。

「ってそれオレのシャツ…」
「着替えがねーんだ」

リボーンが着ていたのは、風呂場に常備してある真っ白なシャツ。
ランボは小さくため息をついた。

(前はブカブカだったのに…)

今では身長に大差ない。いや、むしろ抜かされているかもしれない。

(唯一身長だけ勝ってたのにな)

そうボンヤリと思っていると、リボーンが不敵に笑った。

「てめぇがオレに勝てるとでも思ってんのか」
(だから前までは勝ってたって)
「ほぉ」

頭にゴリ、と鉄の感触。

「なんだ?声に出して言ってみろ」
「…いえなにも」

読心術はズルい…。
やれやれと本に目を戻すと、やっぱりリボーンがランボの肩越しに本を覗く。
今度はランボの首に腕を回し、密着して。
いつもの彼からは想像もできない行動だ。きっとボンゴレがみたら卒倒するだろう。

「ジャッポーネの本読んでんのか」
「うん。ハルさんおすすめの本」

パラ、とページを捲ると、また水滴が手に落ちてきた。

「リボーン、ちょっとタオル貸して」

ランボは本を閉じると、リボーンの肩にかかっていたタオルを引っ張りとった。そして座ったまま体をひねってリボーンに向き直ると、彼の濡れた髪をわしゃわしゃと拭いた。

「…もう少し丁寧にできねーのか」
「うっさい。やってもらえるだけいいと思いなよ」

髪の水分をあらかた取り去ると、ランボは満足そうにリボーンの髪に指を絡ませた。


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