未来部屋
□また会う日まで
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今日、オレはマフィアになります。
黒塗りの高級車で空港に向かう。イタリアに着いたら9代目の補佐をしながら、仕事の受け継ぎを始めるんだ。
部下になる友人たちは任命式まで日本に残していく。大切な青春時代を奪うわけにはいかないから。
…なんて言ったら「青春時代なんてとっくに終わってるから連れていけ」とか言われそうだな。
「なにニヤニヤしてやがる」
自嘲気味に微笑んだオレに、家庭教師の少年の拳が飛んでくる。
「わわっ!!なにすんだよリボーン!」
間一髪で避けたオレに、リボーンはニヤリと笑った。
「よく避けれるようになったな」
オレの教育がよかったんだな、なんて満足そうなリボーン。
ああすごくいい先生だったよ。なんども殺されかけたけどさ。
あっという間にオレたちの乗る車は空港に到着した。
車を降りると、黒スーツの男の人たちが数人オレの周りを固めた。荷物もすべて持ってくれる。
「…さっさと行くぞ」
隣のリボーンに促されるけど、オレの足は前に進まない。
歩こうと思っているのに。
…わかってる、不安なんだ。
マフィアのボスになるなんてまだ実感が湧かないけど……ただ不安なんだ。
気付かれないようにしてるけど、小刻みに震える体は冷えきってる。
黒スーツの男の人が何か言いたそうに口を開いたが、リボーンがそれを遮ってくれた。
その時、バイクのエンジン音が近づいてきた。
「待ちなよ」
止まったバイクから声がかかり、その運転手に周りの男の人たちが警戒をする。
しかし、気付けばオレはその人に向かって走っていた。
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