未来部屋
□また会う日まで
2ページ/3ページ
「雲雀さん!!なんでここに!?」
守護者はオレの出発を知らないはずなのに…
「君の家に行ったら今日出発だと聞いたからね」
バイクから降りた雲雀さんに問いかけると、彼はしれっと言った。…母さん、誰にも言わないでっていったのに。
「なんで僕にも言ってくれなかったの」
ヤバい、雲雀さん不機嫌そうだ…
「それは…まだみんなから普通の生活を奪うわけにはいかないから」
昔の自分じゃ考えられないな。雲雀さんにこんなこと言うなんて。
「今日が出発だって知ってたら、雲雀さんもきっと付いてきてくれましたよね?」
「…さあね」
なぜかオレには確信があった。山本や獄寺くんはもちろん、雲雀さんやお兄さん、クロームも頑なに付いてくると言うだろう、と。
…超直感てやつなのかな。
「オレ、先に行って待ってます」
雲雀さんににこりと微笑む。ちゃんと笑えてるかな…
「だから…「綱吉」
いきなり引っ張られ、オレは雲雀さんに抱きすくめられた。突然のことに驚いて、されるがままだ。
「なっ!?」
「弱虫のくせに強がって。馬鹿じゃないの」
焦って離れようとしたら、ギュッと抱き締められた。いつもと変わらない口調だけど…なんか違う。
「そんな不安そうな顔してるなら行かせないよ」
雲雀さんの温かな体温が不安で冷えきった体に心地よくて。
ずっとこのままでいたいと思って、目を閉じた。
「……雲雀さん」
どれくらい経っただろう。
オレは雲雀さんをギュッと抱き返した。
「ありがとうございます」
そう言うと、雲雀さんの腕の力が緩まり解放された。
「…もう行くの?」
やっぱり普段通りの雲雀さんだ。だけど、なんとなく寂しそうな気がする。
オレは小さく頷いた。
「絶対に呼びますから、来てくださいね」
「いいよ」
思わぬ即答に嬉しくなった。
「綱吉が呼ぶなら、どこにでも行ってあげるよ」
微笑む雲雀さんはとても綺麗で。
「じゃあ、またね」
オレはその言葉を背に歩き出した。
目を閉じれば、いつでも雲雀さんの体温を感じられる。
いつでも雲雀さんが傍にいてくれる気がする。
だからオレはもう大丈夫。
「お待たせ!リボーン」
「おせぇ。さっさと行くぞダメツナ」
後ろでバイクのエンジンがかかった音が聞こえた。
終
next→
あとがき