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【ドラコVer.】
ホグワーツ城裏手の渓谷に掛けられた橋の上での、わずかな逢瀬の帰り道。
谷間から吹き上げる風に、纏った制服がひらりと風を含んで翻る。
下ろしたままの髪も風に巻き上げられて、くしゃくしゃに絡んだ髪を手櫛で整えながら、二人肩を並べて、ゆっくりと城へ戻っていた。
「あ…」
足元に落としていた視線を、ふと彼に向ければ、あるものに気付く。
「なんだ?」
「頭に葉っぱ、ついてる」
同様に風に乱された彼のプラチナ・ブロンドの髪に、小さな葉っぱが絡まっていた。
ドラコは乱暴に髪を払ってみたが、その程度では取れなくて、尖った葉先が邪魔をして絡み付いたままだ。
「ちょっと待って。そんなにしたら、髪痛めるから」
ただでさえ柔らかい毛質で絡みやすいのに、荒く扱えばさらにもつれて、最悪切れてしまうかもしれない。
さらりとした手触りも、光りを受けてきらきらと輝く様も、とてもきれいなのに、それではもったいない。
「ほら、かがんで」
小さく微笑んで促せば素直に腰を折るドラコに、そっと手を伸ばして、指先で葉っぱを摘む。
落葉した茶色く原形の崩れた葉は、彼の髪には似合わない。
その時、風に煽られて巻きあがる髪とともに、ふわりと爽やかな香りが鼻に届いた。
「…っ」
とくん、と一瞬跳ねた鼓動に、慌てて後ろに身体を引けば、意外とすんなり、抵抗なくするりと取れた。
何だと言うのだ、まったくもう。
それこそつい先程まで、二人身を寄せ合って、一緒にいたのに。
「不意打ちなんて、卑怯だわ」
彼の耳には聞こえないくらい、小さく小さく呟いて。
照れ隠しに、手にしたままの落ち葉を、身体を起こした彼の前に差し出す。
「はい。あげる」
ドラコは目の前の葉っぱを、ひたと見た後、くっと眉根を寄せた。
「いるか」
「ふぅん、残念」
少しおどけて言いながら、摘んでいた葉を一度見やってから、その手を開くと。
小さな葉は、二人の間を吹き抜けた風に、高く舞い上がった。