□■ ノベル ■□

□後ろ姿
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「それじゃあ行ってきまっす」

「はい、いってらっしゃい。気を付けていくのよ」

 みのるの見送りに、信彦は元気よく飛び出していく。
 小学5年生の背中に小さなランドセルを見て、我が子の成長にみのるは顔を微笑ませた。
 しばらく見ない間に大きくなったものだ。
 日本を離れる前はもっと、ずっと幼かったのに。
 親がいなくても子供は育つものだと、身をもって感じさせられる。

「ずっと寂しい思いをさせていたと思っていたけど」

 あの時、お父様のところへ預けていてよかった。
 この音井研究所で、たくさんのロボット達と出会ったことで心身共に大きく、素直に育ってくれた。
 大丈夫。
 みのるはそう思う。

「信彦ならきっと、あの子達を大切に思ってくれるわ」

 人間に造られた存在であるあの子達を。
 そして、あの子達も信彦になら・・・。



「さあ、お洗濯をすませて正信さんを手伝わなくちゃ」

 くるりと身をひるがえしてみのるは玄関を後にする。



...End... (01/04/05)


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