【MaiN WorlD】

□Please your smile
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シュッ

無機質なドアの開閉音が聞こえ、ハイネは横になっている状態から身体を起こし来訪者を見上げた。

「誰…キラちゃん?」

「ハイネさん!起きていましたか…すみません、勝手に入って。体の調子はどうですか?」

ハイネは笑顔で大丈夫だよ、と答える。
本当に不思議な艦だとハイネは思う。自分は殺そうとしたパイロットに助けられ、捕虜扱いにもならなかった。それどころか拘束もしない。部屋を与えられ、鍵もかけていないのだ(重傷だから開いていても出れないが)。
そしてこの少女…とてもフリーダムのパイロットには見えない。戦場の流れを一隻の艦とモビルスーツ三機で変えてしまったアークエンジェルの主力モビルスーツフリーダム。そのパイロットがこんなにも愛らしく、花のある少女だと誰が思おうか (一番驚いたことは、この艦にラクス・クラインがいたことだが) 。

「それで?どうしたの?」

柔らかい笑顔でハイネが聞き返すと、キラは用件を話す。

「今日一日艦を離れるので、その前に傷の具合を確認しておこうと思って」

「なに?買い物?」

ハイネは軽い気持ちで聞いた。一瞬キラの表情が沈み、ハイネは眉根を寄せた。

「キラちゃ…」

「そうですよ?何かいる物はありますか?本とか…読みますか?」

キラは再び笑顔に戻り、彼の言葉を遮った。

「んぁあ、別に良いよ」

少し戸惑いながらもハイネは答える。先ほどの表情は見間違えだったのだろうか?

「そうですか?じゃぁ行きますね!」

「いってらっしゃい…気をつけて」

「行ってきます!ハイネさんも身体に無理させないで下さいね?」

キラはドア付近で振り返り手を振って部屋を後にした。


「…あんな子を俺は殺そうとしてたんだよな。…………割り切れ、か。敵の正体を知っているのに討つなんて出来ないよな。割り切れなんて…あいつに酷な事言ったよなぁ、俺」

すまんな、とハイネは誰とも言わず謝った。


.閑話 END
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