【AnotheR WorlD】
□輪廻-transmigration-
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「キラァ〜!」
初夏の眩しい太陽がさんさんと照り付ける中、キラは木陰に座って本を読んでいた。呼ばれたので本に栞を挟み、声のする方へ顔を向ける。
「何かあったの?ミリィ」
ミリィことミリアリアは、相当急いで来たのか息を上げていた。立ち上がったキラの肩を掴み、はぁはぁと息を整えると、ミリアリアは勢いよく話し出す。
「ダメじゃないキラッ!こんなところで暢気に本なんか読んでたら!!あと数分で講義始まっちゃうわよ?」
ミリアリアの言葉通り、あと2、3分で始業ベルは鳴るだろう。しかしキラは急ぐ様子を全く見せない。ミリアリアが首を傾げていると、キラは再び木陰に腰を下ろした。
「今日いい天気だし、サボろうかなって」
なんともキラらしいマイペースな発言でミリアリアは脱力したが、その後クスリと笑う。
「まぁね、確かに。明日は雨だから、しっかりひなたぼっこしなさい!でも木陰だと思って油断してると、斑に日焼けするわよ」
そう言ってミリアリアはまた駆け出す。彼女はサボらずに講義を受けるのだろう。はたまた、彼氏であるトールに今日は外へ出掛けないかと相談しに行くのだろうか。
「斑に焼けるのは…困るな。でもホントにいい天気―」
一カ所に留まることは止め、ゆっくりと散歩をすることにしたキラ。講堂内は自然が多く、昔から手の加えていない所も多くあった。
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