【MaiN WorlD】
□Change the World
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「ありがとう、キラ。おばさんは元気だったか?」
アスランが問えば、キラはうん!と力強く頷いた。
「久し振りねぇって!クリーム多めに入れてもらっちゃった♪」
嬉しそうに自分の持っているクレープを見せるキラ。
「よかったな」
昔も確か、クリームを多めに入れてもらっていたなと、アスランは思い出す。そしてキラは必ずクリームが詰まったクレープを見せて、アスランはよかったねと頭を撫でていた。今日もまたキラの頭を条件反射で撫でるアスラン。キラは気持ち良さそうに目をつむった。
「アスランの事も覚えてたよ?あの澄ましたボウヤはどうしたのって」
「なんで澄ましたボウヤ=俺なんだ?」
納得いかないとばかりに、アスランはキラの鼻を摘む。
「だって!いつも一緒にいたのはアスランだよ?アスランしかいないよっ」
放してもらった鼻を摩りながら、キラは膨れっ面でアスランを軽く睨む。
「……確かに俺には、キラがいない記憶が無いな」
無いと言い切るほど、キラとアスランは一緒にいた。アルバムを見ても、二人は同じ時を同じ場所で成長してることがわかる。アスランは大企業の御曹司であったが、いわゆる帝王学をずっと拒否し続けていた。キラと離れたくなかったから。学校も無理を言って普通の学校に通い、キラと共に進学して来た。ずっと一緒…そう思っていたのに。卒業すると同時に『キラのいない記憶』が増えていく。まるで無尽蔵の様に。
「うん…僕だって無いよ。君がいない記憶なんて」
沈黙が流れる…。二人はそのままクレープを食べ終わり、しばらくボーッと座っていた。そしてアスランはぽつりと呟く。
「なんでキラは留学しようと思ったんだ?」
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