【MaiN WorlD】
□PYS-Side Story
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祭壇を上り切り、シンはやっと足を止めた。カガリは追い付くとシンを見遣り、直ぐさま目を背けた。シンが不愉快そうな表情を浮かべていたから。
重苦しい沈黙が続く。シンが喋る気配は全くなく、カガリは溜め息をつきたくなった。
(本当に…嫌われているんだな)
それでもカガリはそれを、当たり前だとは思いたく無かった。ウズミを否定する言葉だけは決して思いたくない。
「シンは…」
「呼び捨てにするな」
「う…。シン君は」
「キモい」
「お前?」
「ムカつく」
「じゃぁ何て呼べば良いんだよ」
「呼ぶな」
「………シンは!」
段々と苛立ちが募ってきたカガリは、結局呼び捨てすることに決めた。
「なんでオーブが嫌いになった?」
「はぁ?」
いきなり突拍子も無いことを聞かれ、シンは思わず馬鹿じゃないのという目線をカガリに送る。
「理念を守って降伏しなかったことか、犠牲を顧みずオーブを戦火に晒したことか、マスドライバーを壊すために国を焼いたことか…お前の家族を守れなかったことか」
「全部だよ!!全部気に入らないね!アスハのせいで沢山の死者が出た!なのにっお前は!のうのうと生きて、キレイゴトばかり言ってっ!」
シンは怒りのままを口にした。
「私が…生きている事自体が気に入らないか…」
カガリは真剣な眼差しを向ける。今度は背けずに。
「私を殺せばお前は満足するのか?」
シンは瞠目する。しかし再びカガリを睨み付けた。
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