【MaiN WorlD】

□Change the World
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「アスラン!一緒に帰ろ♪」

花が綻ぶように笑うキラ。アスランにとって大切な幼なじみで、大切な…女の子。

「良いよ。でもミリアリアとかと…話してたんじゃないのか?」

今日は卒業式前日。皆進路は別々で、ゆっくり話す機会ももう無く、思い出話に花を咲かせていた。それはキラも例外ではなくて、先程まで親しい友人達と喋っていたのだ。

「うん、大丈夫。まだ明日があるし」

さぁ帰ろう!と、キラはアスランを誘う。

「本当に良いのか?だってお前…」

直も聞いてくるアスランにキラは手で彼の口を塞ぐ。

「私が良いって言ってるんだから良いの!それともアスランはこの私と帰りたくないのかしら?」

少し怒った調子でキラが問えば、アスランは笑って応える。

「そんな事無いですよ、お姫様?」

よろしい、とキラは表情を一転させ笑顔で言った。

*****

キラは校門を出た辺りで、くるりと振り返る。夕日に染まる校舎をキラは見つめていた。

「名残惜しいか?」

「ちょっと、ね?」

キラの背を見ながら、アスランは悲しそうな表情を浮かべる。本人ですら気付かないうちに。キラとアスランは小さいときから一緒にいて、本当の兄弟のように育った。だから気付かなかったのかもしれない。アスランにとってキラがどれだけ大切で、愛しい存在なのかを−。そんな気持ちに気付いたのはごく最近…キラが留学すると言い出してからだった。

「よし、帰ろ?」

「もう良いのか?」

キラが頷くと、アスランは微笑む。

「明日は目が涙で霞んでよく見えないからな、網膜によく焼き付けとけよ?」

そう言ってアスランはキラの頬を軽く抓った。キラの涙で潤んだ瞳を正当化するために。

「いひゃいよ!…アスランのいじわる」

涙目のキラ。それが一筋、頬を伝う。

「今から泣いてたら明日はどうなるんだろうな?見物だ」

意地悪く言うアスラン。だがそれは自分の心情を隠すためのモノで、実際には明日が来る事を恐れていた。キラが自分のもとを去る日を…。


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