不器用な君へ

□USJ襲撃事件
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セキュリティの誤作動事件が起きてから、数日が経った。
環先輩とした約束を守りたくて、何度も連絡をするけれど返事が来ない。

やっぱり、引かれたのかなー…


「何腑抜けた顔をしてんだよ」

『かっちゃん?実はさー…』

「普通に相談してんじゃねぇ」

『え、今聞いてくれる流れじゃん!!』


「そこ!!静かに、順番に並ぶんだ!!」

『はーい』



今日のヒーロー基礎学が、「レスキュー」
雄英の敷地内にある場所に行くまで、バスで向かう。


バスに乗る前考え事をしてると声を掛けてくれたかっちゃんと話をしていると
飯田君から注意をされてしまった。


2列で並んだけれど、バスの並びは向かい合わせの席と、後方は2人掛けの席だった。


私はかっちゃんの隣りに座り、先程の続きをした。
かっちゃんは口は悪いけど、何だかんだちゃんと話は聞いてくれるし
いいアドバイスもくれるんだよね


『実は、この間の騒動の時に助けてくれた先輩がいたんだけど』

「なにモブに助けられてんだよ」

『かっちゃん、話は最後まで聞いてよ
それに、モブって言うな』

「…チッ」

『舌打ちって…まぁいいや!!
それでね、お礼をさせて欲しいって言って、昼ご飯を奢ります!って言ったんだけど
連絡するんだけど…全く返事が来ないんだよね…嫌がられてるかな?』

「そうだな」

『そこは否定してー!!かっちゃんの意地悪!!』



相変わらず意地が悪いかっちゃんを睨んでると、
前方の向かい合わせに座ってる組からの視線があった。

デクの個性の話から始まり、“派手な個性”について話していた。


「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな」


と2人にみんなの視線が集まり、私もつられて隣に座るかっちゃんを見る。


『確かに、かっちゃんの個性は派手だよね』


「いや、硝華ちゃんもだからな!!」


『え?そうかな…焦凍君に比べたら私は弱いし…』

「そんなことないわ、硝華ちゃんはとても強かったわ」


『梅雨ちゃん…ありがとう!』

それから、ヒーローは人気も大事だって話になる。


「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

「んだとコラ出すわ!!」


梅雨ちゃんの指摘にギャンギャン吠えたかっちゃんに周りは怯むどころか

「ホラ」

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

と上鳴君に煽られていた。


『ふっ…上鳴君、例えが上手すぎる!』


ますますかっちゃんの目が吊りがっていくものだから思わず笑ってしまう。

かっちゃんがここまでイジられているのは初めて見たから面白い!!


『あっはは!!かっちゃんがイジられてるとか最高だね!!』

「否定しろや!!!」

『さっき、かっちゃんも否定してくれなかったでしょ!』

「クソがァ!!!」

不毛な言い争いは、相澤先生の

「もう着くぞ、いい加減にしとけよ」とギロリ睨まれ終わった。
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