不器用な君へ
□私のはじまり
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世界人口の8割は、何らかの個性、いわゆる超能力のようなものを持っている超常社会。
それが当たり前の世の中になっていた。
その個性が発現するのが4歳頃。
「人は生まれながらに平等ではない」
そんなことを知ったのは、この時だった。
4歳の誕生日を迎えるまでは、何ともないただ幸せな日々
父親はプロヒーローの為、あまり家にいることはなかったけれど
テレビを見れば、ヒーローとして活躍している父が観ることが出来た
『かっこいい!!』と何度も思った。
父が居なくて寂しかったが、
母や二人の兄と姉、そして世界で一番大切な双子の弟がいて幸せだった。
いつも何処に行くにも一緒にいた弟の焦凍。
「ハナちゃん、ハナちゃん」と言って後ろを付いてくる焦凍は可愛くて、大好きだった。
「ハナちゃん、だいすき!」
『わたしも!ずっといっしょだよ!!』
抱きしめ合う私たちを見て、母はいつも嬉しそうに微笑んでいた。
「二人は本当に仲良しね」
『だって、焦凍がだいすきだもん』
「ぼくも!!」
毎日が幸せだった。
でもこの幸せが崩れるのはあっという間のことだったのだ。