僕たち結婚しました!

□別れ
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SIWON side


予定よりも早く仕事が終わって真っ直ぐ家に帰ってきた。
驚かせようと思ってあえて連絡は入れなかった。
静かに玄関を開けて、音を立てないようにリビングへと繋がるドアを開いた。

キュヒョンは気付いていないようで、この間買ってあげた大きなペンギンを抱えたままテレビを見てるみたいだ。


『キュヒョナ』

『あ、ヒョンおかえり』

『ただいま。キュヒョナ会いたかった』


いつものようにキスしようとするとサッと避けられた。


『あ…ごめん。今そんな気分じゃない』

『そっか、残念。何かあった?』

『何もないよ。ご飯まだだから作ってくるね』


明らかにおかしい態度を取るキュヒョナがキッチンに行こうとするのを、腕を掴んで阻止する。


『待ってキュヒョナ。ここに座って』

『…やだ。本当に何でもないから離してよ』

『それは聞いてから俺が決める』

『離してってば!』

『キュヒョナ、今日は何してたの?』

『…何もしてない』

『さっきまで何見てたの?』

『…何も見てない』

『でもテレビついてたよ?…もしかして俺が出てたドラマ見てた?』

『……見たくなかったのに勝手に流れてきたんだもん』

『見たくなかったのか』

『そりゃそうだよ!キスシーンなんて見たくなかった!』


よりよってキスシーンだったのか。
そりゃ見たくないよな。
俺だってキュヒョナのキスシーンなんて見たくない。


『ごめんね、キュヒョナ。でもあれは仕事だから、何の感情もないよ?』

『分かってる!分かってるけど悔しい』

『何が悔しいの?』

『俺たちのキスシーンは絶対にダメなのに、女の人は堂々とキスできる』

『…世間では受け入れてくれる人の方が少ないからね』

『女の人に産まれたかった…』

『キュヒョナ、俺はキュヒョナが女の子だったらなんて思った事ないよ?性別なんて関係ないよ。俺はキュヒョナだから好きなんだよ?』

『世間から祝福されなくても?』

『うん、俺にはキュヒョナさえいてくれればいい。それに少なくともメンバーは祝福してくれてるでしょ?』

『でも子供だって産めないし…ヒョンの家に迷惑がかかっちゃう』

『迷惑だなんて…そんなことある訳ないでしょ』

『ヒョンの両親だって認めてくれるわけないよ…』

『キュヒョナは反対されれば俺が別れると思ってる?』

『…そういう選択をしないといけなくなる気がする』

『そう思うってことは俺の気持ち、まだちゃんと伝わってないって事だよな?』

そう聞くと黙ってしまった。
否定してくれるかと思ったんだけどな。

『…キュヒョナはどうしたい?』

『…ちょっと考えたい』

考えたいって何だ?
もしかしたら別れる選択肢もあるってことか?
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