鳳長太郎(腐)

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「長太郎、俺たち付き合ってるんだよな」
「えっ!あっ、そうですね‥」

いつもと同じ帰り道。
でも俺は長太郎にどうしても言っておかなきゃ気がすまないことがあった。

思えば1ヶ月前、夏の全国大会が終わったタイミングで俺は長太郎に告白した。
「単刀直入に言う。長太郎、お前が好きだ。その、お前さえ良ければ付き合ってくれ」
恋愛話に疎い長太郎は、意味がわからなかったのか少し間を開けてこう答えた。
「はい、分かりました。俺も宍戸さんのことが好きです。付き合うとかはまだよく分かりませんが、宍戸さんといたいです」
2年の頃から何人かと交際経験がある俺と、そういう方面の知識も経験も乏しい長太郎。
上手くいかないのも当然だったかもしれない。

この1ヶ月、手を繫いだり遊びに誘ったりと恋人らしいことを何回かはしている。
でも、毎回俺からだというのは変わらなかった。

「だったらさ、長太郎?」
「はい」
「お前、俺のこと好きなのか?」
「もちろんです!」
「どのくらい?」
俺が真面目なトーンで聞いたせいだろう。
長太郎は少し困惑した。
「えっ?どのくらい‥」
答えられずもごもごする長太郎に別の質問を投げかける。
「どれくらいまでだったら許せる?」
「えっ」
「俺が、長太郎にすること」
「‥」
しばらく沈黙が流れる。
意味が通じなかったのか、と思い別の質問を思案し始めた矢先。
「‥なんでも、許せます」
「‥えっ」
思わず顔を上げた。
「でも、浮気はちょっとなぁ」
なんて微笑みながらふい、と俺から顔を逸らす長太郎は、俺が好きな長太郎そのものだった。

長太郎が俺のことをどう思ってようが関係ない。
俺が好きならそれでいいって思っていた。
でも、お世辞でも「なんでも許せる」だなんて言ってくれる長太郎のことを信じたい。
そう心に誓うと目の前の長太郎がさらに愛おしくなった。
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