鳳長太郎(腐)

□カーテン
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正直言ってかなり溜まっていた。
風呂は集団で入る、寝室は4人部屋、トイレの個室も運が悪いのか毎回空いていない。

さらに長太郎が裏合宿から帰ってきた俺から片時も離れようとしない。長太郎のことは普段から可愛がってるから、まんざらでもない。とはいえただでさえ性欲が爆発寸前なのに、さらに後輩に甘えられる俺の立場にもなれっての。

「宍戸さぁん!今日は高校生と対戦したんですけどぉ」
「そうか」
溜まっているせいか、身体が重くて最近は集中力が切れがちだ。
「宍戸さん、俺の話つまんないですよね」
突然声のトーンが暗くなった。
「んなこと思ってねぇよ」
「だって宍戸さん、上の空だから」
「だとしても長太郎のせいじゃねぇよ」
「そうなんですか?俺にできることがあれば教えて下さい!」
あー、面倒くせぇ。
頭が回らなくて、言葉を探すのもダルい。
「長太郎のせいじゃねえって言ってんだろ!」
ついイラッとした口調で言ってしまい、はっとして長太郎の方を見る。
大きな身体をこわばらせて、困った顔で俺を見つめている。
「いつもの宍戸さんじゃ、ない…」
はぁ、本格的に面倒くさい。
そんなことより抜きてぇ。
「悪かったな、いつもの俺じゃなくて。戻ってほしかったら部屋から出ろよ」
口をついて出た言葉は完全に本音だった。でもこれじゃ明らかに言葉が足りない。
「…分かりました。宍戸さんがそう言うなら」
「いや、そういう意味じゃねぇ。10分くらいでいいんだよ」
「えっ、10分ですか?」
「とにかく出ろ、10分したら戻ってこい」
幸い大石菊丸は青学メンバーで集まっている。あとは長太郎さえ出てくれれば…。
「わ、分かりました」
ガチャ

出たな。俺はパンツを脱いで取り出したそれをいつものように擦りあげた。
「はぁ、はぁ、っ!クソッ!出るっ」
その瞬間慌てて長太郎が部屋に入ってきた。

しまった。ベッドの二段目にいたから、ギシギシ音を立てていた。
言い逃れはできない。

あたふたする俺とは裏腹に、長太郎はなんのツッコミもせず落ち着いた様子で「大石・菊丸が間もなく帰ってくること」を伝えた。

それはやべぇ。でも中途半端な股間もマズイ。長太郎もさすがに男だから察しただろう。普段カッコつけてるだけに恥ずかしすぎる。

「宍戸さん、俺のベッドに来てください」
「えっ」
「俺のとこだとカーテンあるんで。俺、二人が来ないよう終わるまで見張ってますから」
「…長太郎」

かっこ悪すぎて長太郎相手なのに断ることもできない。むしろ長太郎は普段より落ち着いて見えた。
「わりいな、そうするぜ」

ベッドの縁に座り、ドアの方を向く長太郎。長太郎に背を向けて体制を整える俺。長太郎がすぐそばにいる状態で、オナニーするのは調子が狂うが、贅沢を行っている場合じゃない。とにかくここを落ち着かせないと。
全神経を股間に集中させて、さっきのように扱く。さすがに絶頂が近い。声は出さないように出来ても、鼻息や荒くなる呼吸は長太郎に聞こえてしまう。でもそれにどこか興奮している俺もいた。
「ふんっ、ふぅ、ふっふっ、あぁっ!長太郎っ!」
何言ってんだ俺?でも言ってしまったものは仕方ない。ドロドロの陰茎とティッシュと握りしめて呆然としていた。

「っ…、宍戸さんっ」
気がつくと長太郎が俺の背中に張り付いていた。
「…長太郎?」
「宍戸さんが俺の名前…、それにすごくその、宍戸さんの声聞いてると身体が熱くなってきて…。俺、どうしたらいいんですか?」
確かに背中から熱が伝わってくる。
落ち着いた俺は振り向いた。
「長太郎は抜かねぇの?」
「抜くって、何ですか?」
「マジかよ」
体温が上がったのか頬を赤らめてはいるが、嘘を言っているようには見えない。
「俺がさっきしてたみたいに、自分で射精すんだよ。保健でやらなかったか」
「まだ習ってないです」
確か習ったのは去年の今頃かもしれない。だとすれば合宿に来ている長太郎達はまだだ。

せっかくなので教えてやることにした。
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