鳳長太郎(腐)
□Wherever you are
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〈view from 鳳長太郎〉
U-17合宿を終えた俺は、日本代表応援団としてオーストラリアに滞在していた。たくさんの選手達から刺激を受け、合間にテニスの練習もできるここでの生活はとても充実していた。
ある夜、ロビーでくつろいでいると平理さんと天神さんに話しかけられた。
「Hey鳳クン!今度のOFFは空いてるかい?」
「俺らと登山に行かねぇか?」
せっかくの休みにホテルに籠もっているのももったいない。それに平理さんと天神さんは合宿の頃からデザートを貰ったり、服を借りたり何かとお世話になっていた。
「もちろん行きたいです、よろしくお願いします」
「いいのか!ありがとう鳳クン!」
「最高の気分だぜ、ブラザー!」
二人の顔がぱあっと輝いたので俺まで嬉しくなった。俺が登山初心者だから、荷物や準備は二人が基本的にしてくれるという。俺は素直に甘えることにした。
「では失礼します」
二人と別れてロビーを出ると、ちょうど外から戻ってきた宍戸さんとすれ違った。
宍戸さんは現地の男の子、マーク君にテニスを教えている。こんなに遅くまで、宍戸さんは本当に面倒見がいいなぁ。
「お疲れ様です、宍戸さん。また俺もマーク君に会わせてくださいね!」
あれ?宍戸さんの様子がいつもと違う気が…
「おう、いいぜ」
何か宍戸さんの気に触るようなこと、俺言ったかなぁ?
宍戸さんは口ではそう言ったが俺と目を合わせることなく、通り過ぎていった。
なんとなくモヤモヤしながらも、俺は部屋に戻った。ひとまず今は登山だ!楽しい思い出を宍戸さんに話したら、機嫌を直してくれるかもしれない。
とにかく、今日はおやすみなさい…