希望の異世界奮闘記〜妖怪の国の変〜
□異変
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翌日、とある寺、本殿・・・
「え?・・・今、何て言ったの?聖・・・」
翌日、聖達と共に暮らす寺の本殿にて、夜見は呆けた表情でそう聖に尋ねる。
「おや?一度、言っただけでは理解できませんでしたか?今日からこの脆弱な国を妖怪達が暮らしやすい強固な国に作り替えるために、まずは邪魔な人間達を排除しようと言ったんですよ。」
対する聖は笑顔でそう答える。
が、その纏う雰囲気は昨日までの彼女とはまるで別人のように冷たい雰囲気に変わっていた。
「元人間で半妖のあなたも知ってるでしょう?・・・人間がどれだけ醜いかを・・・ここに来る前、多くの人間や妖怪に虐められてきたのでしょう?」
「で、でも!!ここに来て、人間が皆、そうじゃないってことがわかったんだ!!どうしたんだよ!?聖!!いつも、『人間と妖怪は互いに手を取り合って、生きていくべきだ。』って言ってたじゃないか!!」
「そんな言葉、忘れましたよ。『人間と妖怪が手を取り合って生きていく世界』なんて所詮は夢物語・・・人間が妖怪を忌むのならば、妖怪が人間を忌むのなんて何もおかしくないでしょう?」
困惑しながらもそう言う夜見に対し、聖は冷たい雰囲気のまま、そう言った。