唐沢(長篇)
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「はーい。それじゃあ会議はじめます。」
副会長がホワイトボードの前でそう言い、その横には会長、私達は向かえのテーブルの席に座っている。
度々私の学校と、真田北高は合同で行事を行ったりしている。今回は会議の議題が多過ぎたために急遽合同会議となった。
「苗字、すまない。急に呼び出してしまって。」
「困った時はお互い様。それにうちの学校だけじゃなくて私自身あなた達にはいつも助けられてるから。」
唐沢は申し訳なさそうな顔をして私に言う。何も気にしなくたっていいのに。
「恐縮です、いつも助けられてるのは私たちの方ですよ。名前さん、本当にいつもありがとうございます。」
と副会長。それに続きモトハルも、
「名前様様だわ。」
と言う始末。余程今回の案件は厄介だったのだろう。
「いいよ。はやく本題入ろう。」
頼りにされていると感じるのが嬉しくもあり、ちょと恥ずかしくもあり、私ははやく本題へ入るように促した。
「今回ばかりはうちだけでは手が回らなくて...」
副会長がそう口にすると、
唐沢が書類を手にし、それを読んでいく。
「教師一同から。学校中の水道の水の出が悪いので何とかしてほしいと。」
続いてモトハル
「今度は西側の金網がやぶれ、野良猫が入り込んで来ると野球部から。」
最初はとりあえず一度、全部議題を聞いてから言葉を発しようと思ったが、そうはいかない。
私は、冷静に一言だけ放った。
「業者頼めよ。」