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□課外授業の時間割(跡蔵)by浅葱
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不埒な純情があるとしたら、まさにそれは跡部が白石に抱くその感情だった。
跡部の向かい側でコーヒーを飲む白石に、喫茶店内の他の席から女性たちの視線がちらちら寄越される。
「…白石、生クリーム付いてるぜ。ったく、ガキかよ」
減らず口を叩いて、跡部は少し笑ってシュークリームのクリームが付いた白石の口元を指で拭った。
その指を迷うことなく自分の口に運んで舐めた跡部に、また女性たちがざわめく。
「…跡部クン、舐め方いちいち工口いわ」
うっそりと眉をひそめた白石にフンと笑って、跡部はひそりと彼に耳打ちした。
「この後ウチ来いよ」
『それ』には意味がある。
「…おん」
白石が小さく頷くと、跡部がくしゃりと彼の髪を撫でた。
「やめぇや」
気のない風にその手を払った白石は、だがまんざらでもなさそうに。
つまりは。

「…ん、ぁあ」
汗にまみれ、欲にまみれた情事の最中。
不意に、跡部の携帯が鳴った。
「…ええん?」
「あぁ」
少し考えていた白石は、まだ鳴り続ける携帯を手に取っておもむろに耳に当てた。
「跡部クンの携帯ですけど」
いきなり電話に出た白石に、跡部は一瞬ちらりと目をやるが構わずに行為に集中する。
目に入っていた文字は『忍足』だ。
「跡部クン? おるけど今取り込み中やって言うてたで」
艶やかに笑んだ白石から携帯を取り上げて電源ごと落とした跡部は、イタズラな彼の唇を甘やかにふさいだ。
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