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□専属家庭教師 (跡忍) byつぐ葉
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[専属家庭教師]


「教育者ともあろう人間がどういうつもりでこんな真似をしたのか、聞かせていただけませんか」
「なんのことだか、私には…」
「こちらがおとなしいうちに話した方が身のためだと思いますよ」
「どうして跡部が知ってるんだ」
「そこですか、先生の興味は」
跡部がやってきたのは、F組担任のところ。
「F組になんか知り合いがいるとは思わなかったんだが」
「自分のクラスの生徒を、なんか呼ばわりとはつくづく救いようがないな」
「どうするつもりだ、跡部」
「表沙汰にしても一向に構わないんですけど、ここまで来た意味を汲んでいただけるといいんですがね」
「なにをさせたい?」
「とりあえず再試験。
もちろん、F組用のですよ。
そして成績表にはそちらの点数を記載することと、なぜこんな馬鹿げたことをしたのか、答えてもらいましょうか」
「断れば?」
「あなたの席は明日から職員室になくなりますよ、当然に。
うちの力はわかっているでしょう。
それに今回は生徒が被害者だ。
学校側も先生を守ろうとはしない」
「妻とケンカして、実家に帰られてしまって、ストレスがたまっていたんだー」
「くだらない」
「テスト結果を見て愕然とした。
だが、あそこまでひどくなるのは予想外だったんだよ」
「今回のテストはいつもよりも、難易度が高かった。C組の最低得点者は50点取れなかった。
F組がそんなテストを受けたらどんな結果になるか、わからなかったんですか」
「今回のテストの難易度が上がったのは知らなかったよ」
「あなたを頼るF組の生徒のためにも、二度とこんな真似はしないと誓えば、今回は表沙汰にはしません」
「わかった。
跡部の言うとおりにさせてもらう。
すまない、面倒をかけたな」
「いえ、むしろ俺にはいいきっかけが出来たから許します、では失礼します」
跡部は戻ってくると、忍足に
「片付いた。
部活に行くぞ」
と言った。
「早かったなぁー。さすがは跡部や」
「感心してる場合か、再試に向けて今日から家で勉強会だ。
教えるのは当然、俺様だ」
「問題解けへんかったら罰とか用意せんでいいからな」
「その手があったか」
「だから、いらんって言うてるやろ」
「専属家庭教師に逆らうとはいい度胸だな」
「ヤバい」
「ご褒美のこともちゃんと考えたのか」
「まだやった」
慌てる忍足を見て跡部は思う。
このまま、時間が止まればいいと。

後日F組はテストを受け直した。
忍足は跡部の指導のたまものか満点を取った。
ご褒美がなにになったのか、それはまた別の
機会に。
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