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□専属家庭教師 (跡忍) byつぐ葉
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[専属家庭教師]


「お前、いったいなにをどうしたら、あのテストでこんな点が取れるんだよ」

それはテスト結果が出たあとによくある光景の1つ。
何点だったとか、どれがわからないとかの話をするはずの時に跡部の家でプールに足をつけながら起きた出来事だった。
「たまたま、テスト範囲間違えたんや」
「5科目すべて赤点なら、まだしも、なんで理科と社会が赤点なんだよ」
「だから範囲勘違いしててんって」
「お前、再試終わるまで帰さない。
今、決めたからな」
「それって、どういう意味や?」
「言葉のとおり、再試までうちで強制合宿するってことだよ」
「跡部、俺が赤点だと嫌なんか?」
「そりゃ、嬉しくはない、ただ、それで気持ちを変えるわけじゃない。
だからってこの点数は恋人としてほっておける次元を越えてる」
跡部の自分を思っての発言が嬉しくてボソッと忍足が話始める。
「俺な、理科は苦手やねん。
ただ、ここまで悪いのは取ったことなくて。
テンパっとったんや。
社会は世界史が少し苦手で、でも日本史は、
かなり、いい点数取れてたんや」
素直に答える忍足に愛しさが募る跡部だがここで甘い顔は出来ないと心を鬼にする。
「なんでそのときに考えていなかったんだ?」
「いつもは、赤点ってほど、ひどくなかったから余裕だと思ってたんや。
せやけど、跡部と話してて思い出した」
「なにをだ?」
「理科のテスト、いつもより難しく感じたんやった。計算問題が多くて、解けないから時間が必要だったんや」
「お前、それなんかおかしいとか思わなかったのか、学校のテストで時間が必要だったって。
いつもと違うなとか。
誰かとこのテストの話したか?」
「してへんよ。
俺かて、さすがにこの点は恥ずかしくて、跡部に聞かれなかったら話したくないと思ってたんや。恋人が赤点なんて情けないやろ」
「それで範囲間違えたとかって、ごまかそうとしてたのか」
「すまんな、跡部」
「勉強は教えられる。
だけど確認するべきことが1つだけある」
「なんや?」
「理科のテスト、まさかとは思うが俺らと同じ試験受けたとかないか」
「そんなんあったら、出来るわけあらへん。
内容は3組ごとに分かれてるはずや」
「だからだよ、俺のテストの答案持ってくるから待ってろ」
隣りの部屋から持ってくる。
俺の答案と問題を、見るなり忍足が叫んだ。
「これ、なんで、俺が受けたテストの問題を、跡部が持ってるんや」
「決まりか、これが赤点の理由だな。
俺だって、このテストには苦戦したんだよ、
お前らがまともな点数取れるわけがない」
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