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□僕だって 恋くらいする10のお題 (跡忍)byつぐ葉
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[世界はいとも簡単に]


今日も跡部は岳人と、滝に

「俺様についてこれないヤツは氷帝テニス部にいる必要はない。2軍から出直してこい」

と檄を飛ばす。そう言われた2人はショックを受けつつ、2軍のコートへと向かっていく。

「仕方あらへんな、出番か」

忍足は岳人と滝の元へと向かう。
「岳人、今日はいつもよりも体力の減りが早なかった?どうかしたんか?
滝も違ったな、何事なんや」
「今日の体育がマラソンだった。
しかも5限だったんだ」
「そういうことか、せやったらそれを跡部に言ったらええやん。
なんで言わへんの?」
「跡部に口答え出来るのは、侑士とジローくらいだよ。いい加減わかれよ、それくらい」
「せやったら、ほんまに2軍落ちでかまへんの」
「それは…」
「俺から言うのは簡単やけど、それじゃなんも解決せん、わかるやろ」
「わかった、話してくるよ、向日行こう」
2人は跡部の元へと戻っていった。
「これで納得せぇへんかったら、また俺の出番になるんかな、困るなぁ」
案の定、跡部ははじめから授業の話をしなかったことに憤り許そうとはせんかった。
[ここからが出番か]
忍足は跡部の元へと向かう。
「なんだ、もう練習終わったのか」
「岳人たちのことやけど、なんとかならんか」
「授業後なら、最初から言えばいいものを、なにも言わずにいたんだ。
そんな覚悟のヤツらは2軍落ちだ」
忍足は跡部にそっと忍び寄ると
「今回、目ー、つぶってくれたら今度ビーフストロガノフ作ったるわ」
「当然、俺様の決めた服を着るんだろうな」
「わかった」
跡部はそっと、微笑む。
恋する相手の頼み事とは、なんて甘美なのだろうかと。
疲れきっていた部員を使って、願いを叶える。
こんな真似、いつからするようになったんだ。
忍足、こいつに恋した時から俺様の世界は色を変え始めた。
今では、こいつに叶えさせたい願いのためなら
どんな手でも使いたくなる。
テニスを手段にするときは少し気が引けるが、それでもなんとしても叶えたい。
うちの部員は知らないけれど俺様の機嫌なんて、
忍足侑士の行動1つで簡単に変えられる。
恋とは、厄介なものだ。
相手の言動だけで、世界すら変えてしまう、そんな力を持っているのだから。
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