鬼滅の刃

□君のとなりで、僕は
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「僕と君は、恋人に見えるのかなって」








思わずぽろっとお団子を落としてしまった。


確かに恋人同士ではある。
しかし正直、無一郎が自分たちが恋人に見えるかどうかを気にするなどとは思っていなかったのだ。





鬼殺隊に入った時、鉄穴森から日輪刀を受け取った時、藤の刀は薄緑に変わったのだ。



霞の呼吸は、風の呼吸の派生
実弥が継子は必要ないと言い放ったので派生である無一郎の継子になったのだ。




それから、無一郎と共にある時間は必然的に増えていった。



霞の呼吸を教えてもらう時間も当然一緒に行うため、だんだんと二人の距離は近付いていった。



しかしお互い鬼殺隊のため、
なかなか恋人らしい二人きりの甘い時間
という事も簡単には出来なかった。





「どうしたの、そんな驚いた顔して」



無一郎に言われてハッとしたが、
恋人に見えるかというのは
正直自分も思っていた。



無一郎は14歳
私はもう20歳
どう見ても恋人同士には見えない。
良くて姉弟だろう。

ましてや無一郎の方が上官に当たるだなんて、普通にパッと見ただけで見抜けたら大したものだ。





「いや、無一郎くんも気にしたりするんだなって…。そう思ってるのは…私だけだと思ってたから」



俯きがちに言うと、少しムッとした無一郎が顔を覗き込んできた。



「……僕がそんなこと気にするわけないとでも思ってたの?だとしたら…おしおきだね」




少しいたずらっぽい顔をしてこちらに近付いてきた。




「む、無一郎くん…何を……」




何も言わず微笑まれ、無一郎の顔が近付いてきたので思わず目を瞑る。




すると額に暖かく柔らかい感触




「……はい、おしおき」




目を開けて無一郎を見ると
とても満足気に微笑んでいた。




無一郎のその表情で
額に口付けられたのだと自覚したら、
どんどん顔が熱くなってきた。




「あ…む、無一郎…くん……」



口をぱくぱくとさせながら名前を呼ぶことしか出来ない私は、きっとこれから先も無一郎に翻弄され続けるのだろう。






「僕がもっと大きくなったら、覚悟しておいてね」






そう言った無一郎の顔は、
いつになく大人っぽく笑っていた







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