長編

□ちょっとの勇気
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気になってもうすぐ1年たつ男の子がいる。

小中高ずっと同じ学校で何度か同じクラスにもなって、
人当たりもよくてみんなと仲良くて、
でも騒ぎ散らすような感じの人でもなくて、
いわばスクールカーストの中から外れた位置にいる存在で、気づいたら気になっていた。

そうなってしまうと話は早く、いつも目で追いかけてしまって、
早々に友達にばれて、
でもその友達もいろいろ手伝ってくれると言ってくれて心強い仲間ができて、


彼を好きになってからいろいろなことに気が付いた。

朝同じ電車で登校してたとか、
意外と家が数百メートルの距離と近かったとか、
お昼はいつもお弁当を食べているとか、

新しいことを知るたびにどんどん彼に惹かれていった。


だけどそんな中彼が女の子と一緒に帰っているのを目撃してしまって。
ものすごく話も盛り上がっていてしまいには腕まで組んでいて。


私はその光景を見ていられずにその場を走り去った。


その日から私は彼に会いたくなくなって、
部屋に引きこもるようになってしまって、
不登校になってしまった。


先生とかいろんな人が家に来たけど一切話をしなくて、
唯一話をしたのは友達のかずみんだけ、
学校でこんなことしてるよだとか、
最近こんなお店ができたんだよとか、
かずみんが外の世界を知る唯一の手段であった。


今日もそろそろ放課後でたぶんかずみんが今日も来る。

ピンポーン

おそらくかずみんだろう。
どうやら予想は当たったらしく足跡が私の部屋の前まで近づいてきて止まった。
入るねと聞きなれた声がして扉が開いた。

入ってきたのはやはりかずみん






と彼だった。
一瞬何が起こったのかわからずにいた。
なんで一緒に来てるの?
しばらくして気持ちが落ち着いてきて、
少し回りが見れるようになった。

食べ終わった後のお菓子の袋が机の上に放置されていて、
テレビはつきっぱ、ゲームソフトやコントローラーがぐちゃぐちゃになってる。
ベットは起きてそのまま放置。
外に出ないから髪もセットしてないしもちろんメイクもしてない。


とりあえず彼にはいったん出て行ってもらった。
見られた。
見られすぎた。
もうお嫁にいけない。
冗談抜きで。

かずみんが先ほどから横でずっと謝っているけどそんな声など聞こえないほど気が動転していた。

たぶんまだ彼は帰ってないと思うからすることは一つ。

かずみんをこき使って急いで部屋の片づけをした。
ついでにメイクも。
髪のセットは時間がかかるからフードをかぶってごまかした。

私はかずみんに頼んで彼を部屋に呼び戻してもらった。
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