virtual or real

□第5話 スマホ
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それからしばらくして無事スマホ版がリリースされた。
俺はもちろんインストールしており、課金こそしてないのだがかなりの廃人になりつつあった。


学校内


「おはよー」

今日は俺らとは別で登校してきた白石さんが、教室に入ってきてみんなに挨拶をしている。
普段なら俺も返事をするのだが、生憎クエストの真っ最中で絶賛手が離せない状態なのである。
ごめん白石さん。
すると彼女は反応がない俺の事を不思議に思ったのがこちらに向かって歩いてきた。


「おはよう。名無くん」

『ごめん、ちょっと待って』


わざわざ挨拶をしに来てくれた。
だが先ほどと同じでゲームに集中したかった俺は白石さんに対して素っ気ない返事をしていた。


「むっ。私よりゲームの方が大事なんだ...」

『えっ?なんか言った?』


ボソボソと何かをつぶやく白石さんに何を言ったか問いかける。


「いや、な、なんでもないから。それよりなんのゲームしてるの?」

『もうすぐ終わるから...よし勝った』


バトルも無事終わりようやく話せるようになった俺は白石さんにドラゴンファンタジーの布教を始めるのであった。


「へぇ、面白そうなゲームだね。私もやってみようかな」

『え、ほんとに?』


信じられない。白石さんゲームとかやりそうにないのに布教に成功してしまった。


「今また失礼なこと考えてたでしょ?まぁいいや、始めたら私の手伝ってくれるよね?」

『もちろん!俺に任せてよ』

「ふふっ、頼もしいね。じゃあアプリ入れよっと」


のりのりの白石さんは早速自分のスマホにアプリをダウンロードし始めた。


『白石さん職業どうするの?』

「え、あー名無くんオススメある?」


白石さんのアプリのインストールが済むまでキャラクターについての雑談をする俺ら。


『好みにもよると思うけど白石さんは近接格闘あんま似合わないからヒーラーとかマジックキャスターとかの遠距離支援型とかかな』

「ヒーラーって何?」

『ヒーラーは回復魔法を使える職業でレベルアップして行くと攻撃魔法とかも使えるようになる職業だよ』

「回復役かぁ、いいかも!私それにする!」


白石さんにも気に入ってもらえたようで白石さんはヒーラーになることになった。


「そう言えば名無くんって職業なんなの?」

『俺?俺はソードマスターって言って初期職業の剣士を育てていったらたどり着ける職業だよ』

「すごく強そうな職業だね。あ、アプリ入れ終わったよ」


白石さんのアプリがインストール完了したらしく、二人で初期設定などを済ませて行った。


「あ、フレンド登録できるよ!名無くんのやつ教えてよ」

『いいよ、ちょっと貸して』

俺は白石さんからスマホを借り、自分のIDを入力してフレンド登録を済ませた。


『はい、それでフレンド登録終わったよ』

「ありがとう!へぇ、名無くんナナシって(ガタッ!!)名前なんだ」


少し離れたところで机に伏せていた女子が急にガタッともの音を立てた。
ジャーキングでもしたのかな?
その子は結局ホームルームが始まるまで顔をあげなかった。


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