お題夢

□14.半年記念日
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でーんと目の前に置かれた大きな大きなテディベア。
私の背丈より大きいテディベアの後ろにはこのテディベアを私の前に置いた当の本人のダイフク様が立っている。
外出していたダイフク様が帰ってきて早々、無言のまま置いたのだ。
何も言わずこちらを凝視するダイフク様とテディベアを交互に見比べる。
無言の圧が強い。
沈黙に耐えられず何か話さないとと口を開いた。

「お、お帰りなさいダイフク様。」

「ああ。」

「……大きなテディベアですね。」

「…お前、こういうの好きだろ。」

「!はい、好きです。」

「…やる。」

私はぬいぐるみが好きだけれど、ダイフク様にぬいぐるみを贈られたのは初めてだ。

「いいのですか?ありがとうございます…!」

嬉しくて改めてテディベアを観察する。
ふわふわで柔らかそうだ。
そっと誘われる様に抱き付くと想像通りふわっふわのもふもふでとても肌触りがいい、このまま抱いて眠れてしまえるくらいに心地いい。

「わぁ…!ダイフク様、この子とても気に入りました!凄く嬉しいです!」

テディベアを抱き締めたままダイフク様に笑い掛けると、

「そりゃあ特注で………なんでもねぇ。気に入ったのならいい。」

「…?何です?」

何かを言い掛けて止めたのが気になったけれど、放っとけと言われてしまったので押し黙った。
もふもふとテディベアの感触を堪能しながら、そういえば何故急にプレゼントを贈ってくれたのだろうかと考える。
ダイフク様が遠征に行かれた時はお土産を下さる時はあるけれど、最近は島の外に出る事も無かった様に思う。

「あの、ダイフク様。」

「何だ?」

「どうして急にプレゼントを?」

「…あー、半年経ったからよ。」

「半年…」

「…結婚してから。」

「あ!」

ダイフク様に言われてカレンダーを見た。
ああそうでした、私とダイフク様が結婚し夫婦となってからから今日で丁度半年が経つ。

「わ、私気付かずに…何もご用意していない…」

「いい、俺が勝手にした事だ。気にするんじゃねぇ。」

「ですが…」

「お前はそれ抱いて笑ってりゃそれでいいんだ。」

「わっ!」

ダイフク様は私の頭に手を置くと、髪が乱れるくらい豪快に私の頭をわしゃわしゃと撫でた。



(ふぇ、髪ぐしゃぐしゃ…)
(ははっ、変な頭になったな。)
(むぅ…ダイフク様がしたんじゃないですかぁ。…でも、えへへ。ありがとうございます!)

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